クオーツストーン(Quartz, Silica)から日本は安全なのか? – 前編 –

クオーツストーンは、高級キッチン天板に数多くセレクトされており、日本市場においては年々キッチン天板としての選定が増えている気がします。

そこで疑問なのが、「海外では問題だらけで健康被害訴訟も起きている材料なのに、なぜ日本だけクオーツストーンの人気・選定が増えているのか?」が気になります。

 

そこには業界の様々な兼ね合いがあるので一概に言えませんが、

「正しい情報を伝えるべきメーカーが存在しない」ため、起きている現象だと思われます。

つまり、エンドーユーザーに情報と選択肢を与えないことによる透明性の欠如。それに起因していると思います。

 

本コラムのタイトルである「クオーツストーンから日本は安全なのか」について下記のようにメーカー視線にて

解説していきますので、ご覧いただければ幸いです。

 

クオーツストーンとは?

     ●90%以上の天然石英(クォーツ)を砕石し、色付けをした後、ポリマー樹脂で生成されたもの

    ●業界での位置づけは、天然石の風合いとすぐれた耐久性をもつ高級素材として区分

 

クオーツストーンの特徴・メリットは?

 ●水晶を93%以上含んだ、高級人造大理石

    ●天然の大理石よりも硬度があり傷や衝撃に強い

    ●気孔が少ないので水分が染み込みにくい。また、内部で菌が繁殖しにくく衛生管理がしやすい

    ●93%以上が天然素材でありながらも、色んな柄やいろんな色、バリエーションが豊富

 

クオーツストーンのデメリットは?

    ●大理石のような質感、高級感というだけあって高額

    ●キッチンメーカーのシステムキッチンでの取り扱いが少なく、最上位グレードのキッチンを選ぶかオプション追加が必要

    ●水晶の表面硬度はモース硬度7と非常に高く、傷がつきにくい反面、コップなど落とすと割れやすく、メンテナンス不可。

    ●水晶を樹脂により結合しており、樹脂部分が可燃性を有するため、不燃材としては認定されておらず、内装制限がある場所で使用不可

 

では、なぜ高級材料の位置づけになっているクオーツストーン、健康被害問題・訴訟が起きている理由はいったい何でしょうか?

 

クオーツストーンの健康被害問題とは?

クオーツ(Quartz)に多く含まれる二酸化ケイ素(SiO2)の鉱物は、透明な結晶(クリスタル、Crystal)となってさまざまな岩石に含まれております。

二酸化ケイ素(SiO2)は、別名でシリカとも(Silica)呼ばれ、地球の地殻に最も豊富に含まれる2つの元素、シリコンと酸素、SiO2の化合物になりますが、

シリカ粉塵が人間の身体に入って蓄積されると、正しくは人間の肺に蓄積されると死亡になる可能性が高いです。

 

死亡に至る可能性があるというのは、相当危ない材料では?

現にオーストラリア(Austalia)は、シリカが含まれるクオーツストーンの輸入を国として禁止しました。

なお、米国(アメリカ、America)では多くの訴訟が起きております。

要は、各国で自国民を守るために国として輸入禁止という措置をしている材料であり、

高級材料というより危ない材料であることは紛れもない事実です。

 

根拠は?

シリカの職業暴露による全原因死亡は、2019年に世界で6.5万人と推計されており、

その合計のうち、1.3万人の死亡が珪肺症によるものであると統計が出ております。

死亡原因は、気管・気管支・肺癌であると、いずれもシリカによるものになります。

 

2021年に日本の全国労働安全衛生センター連絡会議から下記のタイトルでの記事がありましたので、リンクします。ぜひご覧ください。

労働における有害な化学物質への暴露と結果としての健康被害:シリカ(Silica, Quartz,クオーツ)

結局、顧客のところへクオーツストーン(Quartz, Silica)天板が届くまで、材料加工を行う作業者の健康被害は年々増加しているのが現状です。

そこで、記載した内容とおりに日本を除いた世界各国は自国民の安全を守るため、集団訴訟や輸入禁止など強硬手段に出ている昨今です。

このような流れの中でなぜ日本だけクオーツストーンの人気が上がっているのかは考えるべきことだと思います。

 

後編では、実際の事例を棚に上げてコラムの掲載を行いますので、

健康被害を生む材料「クオーツストーン」について使っていい素材なのか考察していただければ幸いです。

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