クオーツストーン(Quartz, Silica)から日本は安全なのか? – 後編 –

海外では様々な問題を引き起こしているクオーツストーン、なぜ日本だけクオーツストーンの人気・選定が増えているのか?」について

前編では、シリカ(水晶、Silica)健康被害問題を棚に挙げました。
本後編では、実際の進行中の各国の対策や判決事例を棚に上げながらなぜ「危険すぎる材料なのか(Dangerous of Engeenired stone. Killer stone.)」についてコラム掲載をしたいと思います。

クオーツストーンという材料について悪評がつくかもしれませんが、世界各国で起きていることを根拠ある資料に基づいてご解説します。
※クオーツストーン(Quartz Stone)という用語は日本でのみ使用されており、日本以外の世界では「Engineered Stone(人工石)」になります。

クオーツストーンのシリカ粉塵の影響は、なぜ死に至るのか?

・天然石対比、高いシリカ含有率(天然石40%、クオーツ93%~95%)
・加工時のシリカ粉塵が肺に入ることにより、珪肺症(Silicosis)を発症
・米国のUCLA Medical Centerが患者52人を対象に検査した結果、シリカが原因で死亡した人数は10人(19%)に至っていることが分かった。
→下記の「CBS NEWS(アメリカ合衆国)及び60MINUTES(オーストラリア)」のリンク動画をご覧ください。

※UCLA Medical Centert検査結果資料URL:Silicosis Among Immigrant Engineered Stone (Quartz) Countertop Fabrication Workers in California – PMC (nih.gov)


各国の対策及び判決事例はどうなのか?

・オーストラリア(Australia):

珪肺症を引き起こすクオーツストーンの輸入が2025年1月1日から禁止されると正式発表があった。(Silicosis-causing fake stone imports to be banned from January 1)
なお、国として「業界のコンプライアンスは、リスクのレベルに対し不十分でした。(compliance in the industry was insufficient for level of risk.)」と表明した。
→当初輸入禁止予定は2024年7月でしたが、国内にある在庫処分のみとなっているとのことです。(現状オーストラリアへの輸入は禁止)

※新聞記事URL:Silicosis-causing fake stone imports to be banned from January 1 – ABC News

・アメリカ(America)

アメリカにおいては、数多くの訴訟が起きているため一部のみ棚に上げてポイントと記事URLのみにてご解説します。
ポイントとしては、「殺人石(Killer Stone)」と呼ばれるほど作業者の健康に良くないとのことです。

①カリフォルニア州は、不治の珪肺症からカウンター作業員を守るため緊急規則を採用
California moves to tighten rules to protect countertop workers – Los Angeles Times (latimes.com)

②米国、半世紀前に初めて推奨されたシリカへの曝露制限を設定へ(2024年6月17日発効)
MSHA rule aims to cut miners’ silicosis deaths, silica-related illness | STAT (statnews.com)

③2024年8月にロスアンゼルス陪審員は、人工石カウンタートップメーカーに対する訴訟で5240万ドルの賠償金を認定(約74億円)
L.A. Jury Finds $52.4 Million in Damages in Silicosis Case | Stone Update


クオーツストーンに代替品ってある?

答えはあります。
クオーツストーンの意匠性を持ちながら、シリカ(水晶)の健康被害が起きない安全な材料は、あります。(次回のコラムにご紹介します)

繰り返しになりますが、結局は顧客のところへクオーツストーン(Quartz, Silica)天板が届くまで、材料加工を行う作業者の健康被害は年々増加しているのが現状で日本以外の国々では作業者の命を守るため「緊急規則政策や輸入禁止」などを行っております。
※日本国内で販売される全ての「クオーツストーン」は、高いシリカ含有率を有するため、非常に危険な材料に該当します。お勧めできません。

このような流れの中でなぜ日本だけクオーツストーンの人気が上がっているのか、消費者側と販売者側だけではなく「作業者側」ということも
材料選定の際に考えるべきことだと思います。

次回は「クオーツストーンに代替品はあるのか」についてコラムの掲載を行いますので、
まずは、健康被害を生む材料「クオーツストーン」について使っていい素材なのか考察していただければ幸いです。

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